研究課題/領域番号 |
02670391
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀江 稔 京都大学, 医学部, 助手 (90183938)
|
研究分担者 |
小森 優 京都大学, 医学部, 助手 (80186824)
|
キーワード | 心房性ナトリウム利尿ペプチド / 細胞内カルシウム / カルシウム電流 / パッチ・クランプ法 / furaー2 / 心筋細胞 / β受容体刺激 |
研究概要 |
成熟モルモット心を酵素処理して単離心筋細胞を調整し、パッチクランプ法およびfuraー2蛍光色素を用いた細胞内カルシウム濃度([Ca^<2+>]_i)測定法により、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の心筋細胞脱分極時の細胞内カルシウム動態に及ぼす影響を検討した。まず、高カリウム(K)溶液により細胞の脱分極を起こし、その時のANPの[Ca^<2+>]_iに対する影響を調べた。高K脱分極により[Ca^<2+>]_iは上昇するが、あらかじめイソプロテレノ-ル(ISO)によりβアドレナリン受容体刺激(β刺激)を行った状態下では[Ca^<2+>]_iの上昇はさらに増加する。そこでISO存在下及び非存在下におけるANPの高K脱分極時の[Ca^<2+>]_iに対する影響をfuraー2を用いて検討した。ANPはISO非存在下では[Ca^<2+>]_iの上昇に影響を与えなかったが、ISO存在下では[Ca^<2+>]_iの上昇をある程度抑制した。そこでβ刺激により修飾を受ける因子として電位依存性カルシウム・チャネル電流(ICa)を考え、パッチクランプ法を用いて直接、膜電流を観察した。ISO非存在下ではANPはICaに影響を与えなかったが、ISO存在下で増加したICaを抑制した。以上より、ANPは、βアドレナリン受容体刺激存在下で、膜電位依存性カルシウム電流を抑制することにより細胞内カルシウム濃度の上昇を抑制していると考えられた。したがって、ANPは虚血時のようなβ刺激が亢進した状態下で[Ca^<2+>]_iの上昇を抑制することにより、カルシウム過負荷から心筋細胞を保護していると考えられる。
|