研究課題/領域番号 |
02670402
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小川 久雄 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (50177135)
|
研究分担者 |
奥村 謙 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20185549)
泰江 弘文 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40174502)
|
キーワード | acute myocardial ischemia / angina / acute myocardial infarction / tissue plasminogen activator / plasminogen activator inhibitor / tPAーPAI complex / oxygenーderived free radical |
研究概要 |
狭心症および急性心筋梗塞患者での線溶系および活性酸素の変動を検討した。線溶系の変動は血漿組織プラスミノ-ゲンアクティベ-タ(tーPA)およびプラスミノ-ゲンアクティベ-タ-インヒビタ-(PAIー1)さらにtーPAーPAIー1複合体をマ-カ-として検討し、活性酸素の変動は全血ルミノ-ル依存性化学発光法を用いて測定した。1.冠攣縮性狭心症患者について、発作(急性心筋虚血)との関係を見てみると、発作直後では変動はみられないが、発作後15分でPAIー1活性が上昇し、線溶能が低下することが示唆された。2.不安定狭心症患者は安定労作狭心症患者に比し、tーPA抗原も高いが、PAIー1活性がより高く、線溶能としては低下していると考えられた。3.急性心筋梗塞患者でも安定労作狭心症患者に比し、tーPA抗原、PAIー1活性とも高値であり、その機序の解明にtーPAーPAIー1複合体の上昇が役立つと考えられた。すなわち、急性心筋梗塞では血中にtーPAが多く分泌されるが、それとともにPAIー1も上昇し、実際に複合体を形成してtーPAを阻害する結果、線溶能の低下をまねくと推察される。4.tーPA抗原、PAIー1活性は、朝に高く夕に低い日内変動があることが知られていたが、本研究によりtーPAーPAIー1複合体にも朝に高く夕に低い日内変動があることが明らかとなった。5.急性心筋梗塞急性期にはPAIー1が上昇するとされていたが、本研究によりPAIー1活性の正常な症例もあり、急性期冠動脈造影所見との対比により、冠動脈が開通している症例はPAIー1活性も低いということが明らかになった。6.全血ルミノ-ル依存性化学発光法を用いて、急性心筋梗塞患者において多核白血球由来Oxygenーderived Free Radical産生が亢進していることが示唆された。今後の研究目標としては、近年急性心筋梗塞の治療として盛んに行われている血栓溶解療法に関して、その効果とtーPA抗原、PAIー1活性との関連、またその前後での活性酸素生成の変動について検討していく予定である。
|