高血圧症腎での交感神経α_1α_2受容体の細胞内情報伝達系の検討及び分子生物学的検討

1991 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02670404
• 研究機関: 横浜市立大学
• 研究代表者: 梅村 敏 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00128589)
• 研究分担者: 石井 當男 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90010363)
• キーワード: α_1受容体 / α_2受容体 / cyclic AMP / mesangium / Dahl rat / restriction fragment length polymorphism

研究概要

1.ヒトおよびラット腎mesangium細胞の培養系の確立
腎癌患者の摘出腎正常皮質部またはラット腎皮質からsieving法によって糸球体を分離。20%FBS加MEM培地にてmesangium細胞を培養することにほぼ成功している。この細胞を用いα_2受容体cAMP産生抑制系の有無の検討、α_1受容体ーIP_3産生系の有無の検討を行なう。また、α_1α_2受容体cDNA probeを用いたNorthern blotting法により同受容体mRNAの存在の証明、さらにα_1α_2antagonistの ^3H prazosinおよび ^3H rauwolscineを用いた結合実験による同受容体のcharacterizationを予定している。
2.遺伝性高血圧症におけるα_2受容体の遺伝子レベルにおける検討
(1)米国人で認められたα_2受容体遺伝子のRFLP(restriction fragment length polymorphism)が日本人にも存在することを確認した。これはBsu 36I endonucleaseでdigestion後のSouthern hybridizationで明らかになった。このRFLPと血圧の関係を検討はるためすでに50人以上のヒト白血球よりDNAを抽出した。上記RFLPと本態性高血圧症の有無およびいわゆる家族歴の有無との関係について検討することを開始している。
(2)Dahl rat腎におけるα_2受容体mRNAの変化を検討するためにNorthern hybridizationの確立を行なっている。また高Na食、低Na食をDahl ratに投与、高血圧ratおよび同control rat腎を作成した。

研究成果

• [文献書誌] Yasuda G,Umemura S et al.: "Characterization of prazosinーsensitive α_2Bーadrenoceptors expressed by cultured rat IMCD cells" Am.J.Physiol. 261. F760-F766 (1991)
• [文献書誌] Ishikawa Y,Umemura S et al.: "Identification of an alpha_2ーadrenoceptor in human coronary arteries by redioligand binding assay" Life Science. 48. 2513-2518 (1991)
• [文献書誌] Umemura S et al.: "Ronal adenylate cyclaseーcyclic AMP system in spontaneously hypertensive rats.ーeffect of parathyroid hormone,prostaglandin and α_2ーadrenergic receptor stimulationー" Excerpta Medica. (1992)
• [文献書誌] 梅村 敏 他: "若年男子血小板α_2受容体とNa摂取量変化,立位負荷ー高血圧家族歴の影響ー" Therapeutic Research. 13. (1992)
• [文献書誌] 梅村 敏 他: "軽症高血圧の薬物療法" 日本臨床. (1992)
• [文献書誌] 梅村 敏 他: "腎障害を伴った高血圧症とα_1遮断薬" スズケンメディカル. 62. 55-64 (1991)
• [文献書誌] 梅村 敏 他: "レセプタ-基礎と臨床" 井村 裕夫 他編朝倉書店, (1992)
• [文献書誌] 梅村 敏 他: "Annual Review腎臓 1992" 越川 昭三 他編中外医学社, 237-243 (1992)