研究概要 |
末梢交感神経終末において、ノルエピネフリン(NE)再摂取は、神経間隙のNE濃度を規定する重要な要素である。そこで、各種遣伝性高血圧において、末梢交感神経終末でのNE再摂取をNE遊出とともに観察した。 ラット上腸間膜動脈潅流標本を用いた検討から、生後7週齢の幼若高血圧自然発症ラットでは、電気刺激時のNE遊出量が対照のWistarーKyotoラット(WKY)に比し増加し、 ^3HーNEの再摂取量も増加していた。一方、生後13週齢のSHRでは、NE遊出量および再摂取量は対照WKYと差がなかった。潅流標本感のNE含量は、7および13週齢SHRにおいてWKYに比し高値を示した。Dahlラットでは、電気刺激時のNE遊出量は、食塩受性ラットで高く、食塩負荷によりさらに増加した。NE再摂取は、食塩感受性ラットで低下していた。潅流標本のNE含量は、食塩感受性ラットで低下していた。以上より、NE再摂取は、各伝性高血圧の病態により、異なると考えられる。 次に、食塩貯留が重要な役割を果たす高血圧における体液性因子の関与を明らかにするため、部分賢摘食塩負荷高血圧ラットを用い、Na,KATPase阻害物質(NKAI)を尿中より精製した。NKAIの分子量は、約400、極性は中等度であった。視床下部スライスをincubateすると、medium中にNKAIが認められた。部分賢摘漿NKAIは有意に高値であった。分離腸間膜動脈潅流標本に部分賢摘ラット血漿を投与すると、NE遊出量は増加し、その増加はSHRがWKYに比し大きかった。これらの成績から、部分賢ラットの血漿および精製したNAは、視庄下部より調整したSynqptosomeへのOubazn感受性NE再摂取を阻害した.幼若SHRでは、WKYに比しNKAIは有意に高値であった。分離腸間膜動脈潅流標本に部分賢摘ラット血漿を投与すると、NE遊出量は増加し、その増加はSHRがWKYに比し大きかった。これらの成績から、部分賢摘食塩高血圧ラットでは、NKAIが産生され、その分泌部位の1つは視床下部と考えられる。NKAIは、NE再摂取を抑制することより、神経間隙のNE濃度を上昇させ、血圧上昇に関与すると考えられる。
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