研究概要 |
本年度は、腎摘食塩負荷高血圧ラットの尿より内因性Na,KーATPase阻害物質を部分精製し、交感神経終末のモデルとしてラット視床下部synaptosomeへのnorepinephrine再摂取への影響をみた。 7週齢Wistarラットの腎を60〜70%摘除後、1%食塩水を1週間飲水させ、腎摘食塩負荷高血圧ラットを作成した。1週間後より3日間代謝ケ-ジ内で飼育し、尿を採取した。尿を吸着カラムで処理後ゲル濾過で得られたNa,KーATPase阻害度の高い分画を、ODSカラムを用いた逆相HPLCにて分離すると、保持時間31分、acetonitril 42%でNa,KーATPase阻害度、digoxin様免疫活性の高い分画が得られた。さらに、サイズ排除HPLCで分離すると、保持時間14分に溶出される物質が得られた。分離された物質は、濃度依存性にNa,KーATPaseを抑制した。Digoxin様免疫活性に関しては、本抗体はdigoxinとは濃度依存的に結合を示したが、quabain,digoxinと僅かに結合するのみで、DHEA、γーoleovlーLPCとはほとんど結合を示さなかった。逆相HPLCでの保持時間すなわち極性を分離した物質と既報の脂質、ステロイド、強心配糖体と比較した。本物質はdigoxinに近い中等度の極性を持っていた。さらに、サイズ排除HPLCで保持時間より、本物質の分子量は約400であると推定された。 Norepinephrine再摂取は、ラット視床下部synaptosomeへの ^3HーNE摂取により測定し、精製した内因性Na,KーATPase阻害物質を加えNE摂取に及ぼす影響をみた。その結果、分離した物質は、濃度依存的にsynaptosomeへのNB摂取を抑制した。 以上より、腎摘食塩高血圧ラット尿より部分精製した内因性Na,KーATPase阻害物質は、dogoxinに近い物質を持ち、交感神経終末でのnorepinephrine再摂取阻害作用を認めた。
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