研究概要 |
平成3年度は、各種ホルモンおよびイオンによる心筋細胞Na,KーATPase遺伝子の発現制御機構について検討し、以下のような新知見を得た。尚、その成果は、英文誌および第56回日本循環器学会総会シンポジウム“心機能不全の生化学"にて発表した。 1.ラット培養心筋細胞にアルドステロンを添加すると、細胞内Na量が増加し、Naポンプ遺伝子、さらにモノクロ-ナル抗体を用いて求めたNaポンプ量が増加することを明らかにした(J Biol Chem 266:12058,1991)。 2.甲状腺ホルモンも同様に、心筋細胞のNa,KーATPase遺伝子の発現を制御し、細胞内Na量、活動電位に影響した。さらにNa,KーATPase遺伝子の5'上流プロモ-タ-領域に、甲状腺ホルモンが作用する特異的塩基配列が存在することを明らかにした(Circ Res,印刷中)。 3.心筋細胞Na,KーATPase遺伝子発現に対するNa+の作用を知るため、心筋細胞をouabainで処理した。Ouabain添加により細胞内Na-濃度は増加し、それに伴いNa,KーATPase遺伝子の発現が亢進した。また、Na,KーATPase遺伝子の5'上流プロモ-タ-領域にNa+の作用する特異的塩基配列が存在することを明らかにした(投稿準備中)。
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