1)再潅流時期が心筋梗塞後のexpansionの程度及び心筋壊死修復過程に及ぼす影響の検討 ラットを用いた覚醒下に冠動脈を閉塞、再潅流しうるモデルを用いて、我々は平成2年度において閉塞後6時間の晩期再潅流では心筋梗塞サイズ、expansionの軽減は認められないものの、梗塞部心筋壊死組織の修復過程が促進することを報告した。平成3年度においては閉塞後1時間の早期再潅流を行った。その結果として、早期再潅流は梗塞サイズをを減少させ、梗塞中心部の心筋壁厚の菲薄化を防止expansionの程度も軽減することが判明した。また、晩期再潅流同様に梗塞部の心筋壊死過程を促進していた。 2)高血圧及びそれに伴う心肥大の存在がexpansionの伸展に及ぼす影響 SHRを用いて覚醒下に広範囲心筋梗塞を作成し、正常血圧であるWKYラット群と梗塞サイズ、expansionの程度を比較した。組織学的検討は梗塞作成後7日目に行った。本研究は未だ進行中であり最終的な結果は得られていないが、これまでの検討ではSHRではWKYに比し冠閉塞後の死亡率が著しく高い。また同程度の梗塞サイズで比較すると、expansionの指標の内、心室のdilationの程度には差がないものの、梗塞部心筋壁厚のの梗塞前壁厚に対する比(thinning index)SHRでむしろ大であり、SHRでは梗塞部心筋の菲薄化が抑制されている結果を得ている。
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