研究課題/領域番号 |
02670421
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
吉村 教あき 弘前大学, 医学部, 助教授 (60018893)
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研究分担者 |
佐藤 剛 弘前大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (80003490)
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キーワード | メンケス病 / 脳変性機序 / モデル動物 / 銅治療 / 銅依存酵素活性レベル / 組織化学 / モノアミン・オキシダ-ゼ |
研究概要 |
本研究の目的はMenkes病の脳障害の発症機序に、銅依存酵素の活性低下が大きく関与していることを証明することであった。平成3年度は[1]Superoxide dismutaseに関する前年度のデ-タ(報告済み)を検討しその正しいことを再確認するとともに、デ-タを補充した(論文2)。次に[2]Brindled mouse(BM)脳におけるmonoamine oxidase(MAO)の活性レベルについて、組織化学的方法(Kishimoto et al.の活性染色法)と、生化学的方法(Kramlによる蛍光測光法)で調べた。動物はそれぞれ3日令、8日令、13日令、1カ月令、3カ月令のBM各5匹と正常対照各5匹を用いた。尚、正常対照については更に6カ月令、9カ月令、13カ月令についても調べた。その結果、(1)組織化学的にも生化学的にも、BM脳のMAO活性レベルは、正常対照に比べ、各age群において有意差がみられないことが明らかになった。従って、MAOはマウスMenkes病の脳変性に関与しないと考えられた(論文1)。更に、(2)マウス脳のMAO活性レベルは明らかなage依存性を示して、ageと共に上昇すること、(3)生後1カ月令までは急勾配の直線的上昇を示し、3カ月令でほぼピ-クに近づき(90%レベル)以後は徐々に上昇し、8ー9カ月令でピ-クに達することが明らかになった(論文3)。これはヒト脳組織を検索する上で重要と考えられた。次に(4)活性染色の原法を少し変え、潅流固定をしない方法を開発した。この変法をマウス屠殺後(a)直ちに凍結(-20℃)し24時間保存した脳、(b)直ちに4℃に保ち30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間それぞれ経過した脳に適用して調べた。その結果(5)脳幹のMAO陽性ニュ-ロンの染色性(活性)は死後4℃で4時間まではかなりよく保たれること。また(6)凍結保存した脳では長時間よく保たれること、を夫々確認した。これらの成績は、この変法をヒトの剖検又は生検組織に応用できることを示すものであり、今後の研究の更なる発展が期待できそうである。
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