研究課題
一般研究(C)
成長ホルモン(GH)受容体発現の面から正常小児の成長機序を明かにするため以下の方法を開発せんとした。1)ゲル濾過およびGH受容体に対するモノクロ-ナル抗体を用いたによるGH結合蛋白(GHBP)の測定系の開発。2)合成ペプチドを用いたGH受容体抗体の作製。4)Affinity cross linking法を用いたIGF結合蛋白の定量系の開発。IGFBP_3RIA.5)免疫組織及びin situ hybridizationによる末梢GH受容体の検討。6)培養骨芽細胞(MC3T3)を用いた検討。2年間で得られた結果の要旨は以下である。1.ヒト正常生理におけるGH結合蛋白:ゲル濾過およびGH受容体抗体を用いた検討により、ヒトGHBPはGH受容体細胞外部位とほぼ同一である事を確認した。GHBPとGH依存性の成長因子(IGFI)の年齢依存性の変動の近似を示した。さらに1ー10歳の年齢においてGHBPとIGFIの正相関を認めた。GH分泌は一定であると考えられるので、年齢依存性のIGFIの増加ならびにGH依存性の成長発育はGH受容体の増加(親和性は不変)によることが最も考えられる。各種成長障害の解析はGHBPとIGFIの関係で検討することは有意義である。栄養代謝の低下に応じてGHBPーIGFIともに低下する事が示され、低栄養におけるGH不能性はGH受容体の減少による。2ステロイドホルモンとGH結合蛋白:性早熟症においてはGHBPは低値であり(IGFIは高値)性腺機能を抑制する治療によりGHBPの増加をしめした。また甲状腺機能亢進症および低下症においてGH結合蛋白に異常は認められなかった。各種病態におけるGH結合蛋白を検討した。IGFBPSについてはin vivo並びにin vitroとも適用出来る測定系を得た。以上GH受容体発現から小児の成長機序を検討したが、GH受容体の転写調節を含めこの知見をin vivoでさらに検討すべく単クロ-ン抗体、GH受容体遺伝子プロ-ブを用いた検討を行っている。
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