研究概要 |
1 情報収集のハ-ドおよびソフトウェアのシステムの完成 平成2年度において開発した「デ-タの収縮と圧縮」の方法を用いて出生後5時間以内より連続7日間の生体情報(脳波、呼吸、血圧、心拍、TcPO_2、TcPCO_2)を一人一日1MBに圧縮し、ミニコンAー50(現在)を用いて逐次的経時的に自己回帰パワ-スペクトルを求め、各パラメ-タ-の“揺らぎ"の日内および概日リズムを追求した。その結果、(1)脳波は出生直後に10〜40分周期の成分が存在し、未熟児の成績から在胎32週はウルトラジアンリズムの発達上、臨界期に相当すること、(2)心電図RR間隔は出生直後にすでに30分周期リズムが存在し、発達にともなってより長し周期のリズムが加わること、(3)呼吸曲線のARスペクトルに要素波解析を施し、要素波周波数のヒストグラムをみると、0〜0.4,1.0〜1.6,1.6〜2.0,2.0〜2.5cycle/minの5帶域に分けられ、靜睡眠期では1.0〜1.6cycle/minに鋭いピ-クが、動睡眠期では0.4c/min以下にプロ-ドなピ-クがみられること、などが明らかになった。血圧、TcPO_2、TcPCO_2の揺らぎリズムは現在検索中である。 2.呼吸とRR間隔相互間の制御応答 本年度購入によるデ-タ収録ボ-ド(HBーM10ー16XHー18)を用いて、出生直後から日齢7までの呼吸・RR間隔のノイズ寄与率(RCR)の発達をみると、健康未熟児では受胎後30〜32週以前では80%以下であったのに対して32週以上では80〜90%のRCRを示し、ヒト呼吸中枢は受胎後32〜34週で完成することが明らかにされた。さらに、中枢性睡眠時無呼吸症候群の典型例たる『オンディ-ヌの呪い(CHS)』児の心拍・呼吸相互応答をみると、正常対照児と閉塞性睡眠吋無呼吸児では呼吸から心拍へのRCRは0.23Hで90±6.7%であったのに対して、CHS児では0.39Hzで37±7.7%と有意の低下がみられた。他のパラメ-タ間の制御応答は検討中。
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