研究課題/領域番号 |
02670453
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 順造 福島県立医科大学, 医学部・小児科学講座, 講師 (20171217)
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研究分担者 |
鈴木 仁 福島県立医科大学, 医学部・小児科学講座, 教授 (80045682)
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キーワード | PGE_2受容体 / Phospatidylinositol / ネフローゼ症候群 / アミノヌクレオシドネフローゼラット / ステロイド剤 / 柴苓湯 |
研究概要 |
Puromycin aminoncleoside(AN)nephrotic rats(NR)では、尿中蛋白排泄量と尿中prostaglandin E_2(PGE_2)排泄量との間に密接な関係があり、ネフローゼ状態では腎のPGE_2受容体を介した細胞内情報伝達機構が障害されていることを報告した。 一方、小児特発性ネフローゼ症候群の治療にステロイド剤や漢方薬とくに柴苓湯が使用され、その有効性が報告されている。 そこで、ステロイド剤や柴苓湯を投与した際のANNR腎における細胞内情報伝達機構の変化を明らかにする目的で、ステロイド剤や柴苓湯投与および非投与時における尿中蛋白排泄、尿中PGE_2、さらにPGE_2受容体を介したPhosphatidylinositol(PI)代謝回転について検討した。 その結果、以下のことが得られた。 1)ステロイド剤および柴苓湯はともに尿中蛋白排泄量を抑制したが、腎内PGE_2産生抑制効果とは相関しなかった。 2)ネフローゼ腎ではPI代謝回転の亢進が認められたが、ステロイド剤と柴苓湯はその亢進を抑制した。 3)PI代謝回転のPGE_2に対する反応性はネフローゼ状態で変化しており、ステロイド剤と柴苓湯はその変化を修復する作用を有している可能性が推察された。 以上より、ラット腎のPI代謝回転の変動がネフローゼに発症・再発に関与していることが示唆され、ステロイド剤や柴苓湯はそのPI代謝回転変動の修復作用を有し、それにより尿中蛋白排泄抑制効果を発現するものと考えられた。
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