研究概要 |
末梢血造血幹細胞アフェレ-シスの至適時期を決定するために化学療法終了後の末梢白血球回復期から末梢血幹血胞アフェレ-シスを行い、CFU‐GM,CFU‐mix,BFU‐Eの測定を行った。造血幹細胞の回収率は化学療法終了後、14〜21日頃に多く認めたが、従来の報告と異なり白血球が十分に回復した時期でも1回のアフェレ-シスで5.5×10^5CFU‐GM/kgという多量の幹細胞が回収できた場合もあり、アフェレ-シスの時期は症例や採取前の化学療法またその時の患児の状態などにより変動すると考えられた。CD34抗体を用いた免疫ビ-ズ法による造血幹細胞の濃縮は臍帯血や骨髄の場合はあらかじめT,Bリンパ球を抗体を用いて除去する必要があったが末梢血幹細胞の場合はリンパ球の除去を行わなくても濃縮が可能であった。二次性コロニ-形成については大型CFU‐mix由来コロニ-より回収した細胞にてコロニ-形成を行った場合CFU‐GMの形成を認め、末梢血幹細胞にもself‐renewalityのあることが判明した。末梢血幹細胞移植後のリンパ球機能(4/8比,NK活性,Mitogenに対する芽球化)はウベニメクス投与により改善した。 臨床的には神経芽腫2例、急性非リンパ性白血病4例に超大量化学療法の後にPBSCTを行った。輸注幹細胞数はそれぞれ1.4×10^5,2.7×10^5,2.2×10^5,3.5×10^5,5.3×10^5,8.8×10^5CFU‐GM/kgである。幹細胞の生着は全例に認め、白血球数1,000/mm^3に至る期間は9〜13日、血小板輸血の最終日は9〜15日であった。6例中4例は無治療で再発なく生存中である。1列は原疾患の再発、1例は合併症(間質性肺炎)にて死亡した。現在更に、急性白血病3例、固型腫瘍2例で末梢血幹細胞保存中であり近日中に移植を予定している。
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