研究概要 |
CD34抗体による末梢血造血幹細胞の濃縮はCFU-GMにおいて60倍、CFU-Mixにおいて75倍、BFU-Eにおいて178倍と良好な濃縮率が得られた。しかし、操作段階での細胞の損失が大きく、最終の総幹細胞量は濃縮前よりも減少した。濃縮幹細胞移植の臨床応用には、さらに濃縮方法の検討が必要である。末梢血単核細胞中のCD34陽性細胞とCFU-GMの間には一定の関係があると考えられ、コロニー形成法にかえてCD34陽性細胞の測定が幹細胞量の定量になる可能性が示唆された。 臨床研究では移植例が急性白血病6例、固形腫瘍4例となり、さらに4例が移植の予定となっている。生着は全例で得られ、同種骨髄移植に比較して速やかであった。治療効果は難治性急性白血病6例中4例、固形腫瘍4例中2例に長期の無病生存が得られている。とくに急性白血病については、同種骨髄移植と共通の大量Busulfan,VP-16,ACNU(BVA)の前処置にて行っているが、同等の無病生存率を得ている。 末梢血幹細胞の採取効率については、従来の報告と異なり、一回の化学療法後の複数回採取や長期の化学療法後の採取においても採取可能であった。このことより、末梢血幹細胞移植の適応であれば、初期の採取量が不十分であっても、繰り返し採取により移植に必要な幹細胞の採取が可能と考えられた。
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