研究分担者 |
安保 賢一 北里大学, 医学部, 助手 (80202688)
細田 のぞみ 北里大学, 医学部, 助手 (80199504)
砂押 渉 北里大学, 医学部, 講師 (20171283)
白井 宏幸 北里大学, 医学部, 講師 (10154353)
高梨 栄 北里大学, 医学部, 講師
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研究概要 |
1.Zonisamide(ZNS)は腸管からの吸収が遅く,血中半減期が長いため,1日1回の投与でも,日内の血中濃度は比較的一定に保たれる。そこで,ZNSを単剤で1日1回服用中の3ヵ月〜15歳未満(平均8歳6ヵ月)のてんかん患児45例を対象に,血中濃度の日内変動と年齢的変化を検討した。ZNSは1日量2mg/kgから導入,1週ごとに培増して,8mg/kg/dayを初回維持量とした。血中濃度の測定は,初回維持量となって4週後の定常状態で行い,個々の採血は,血中濃度が日内で最低および最高濃度となる,朝服薬直前と服薬後4時間に行ったが,最高/最低血中濃度比は1.25前後であった。また,最低血中濃度および最高血中濃度で求めた血中濃度(μg/ml)/投与量(mg/kg/day)・比は,小児期を通じ,いずれも年齢とともに上昇する傾向にあった。 一方,前述の対象はすべて部分発作を示す,明らかな精神運動発達障害あるいは神経学的異常を認めない,それまで未治療の患児であるが,日内の最低血中濃度が15μg/ml前後の者には再発例が多く,眠気は最高血中濃度が40μg/ml以上の者に出現した。これは,一般に提唱されているZNSの治療濃度域15〜40μg/mlとよく一致する。 2.次に,このZNS単剤1日1回投与法を行い,治療濃度域高値を保っても発作の抑制が困難なため,carbamazepine(CBZ)を併用した5〜14歳(平均10歳7ヵ月)の患児7例を対象に,ZNSの血中濃度におよぼすCBZの影響を検討した。CBZは1日朝夕2回の分服投与とし,15mg/kg/dayを基準維持量としたが,CBZの併用によりZNS血中濃度は日内の最低濃度,最高濃度ともに有意に低下した。しかし,併用したCBZならびにその主要代謝物carbamazepine-10,11-epoxideの血中濃度は,対照としたCBZ単剤治療群の値と差がなく,ZNSがCBZ血中濃度におよぼす影響はないと思われた。
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