研究課題/領域番号 |
02670460
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
平石 聰 北里大学, 医学部, 助教授 (80118835)
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研究分担者 |
縣 陽太郎 北里大学, 医学部, 講師 (80146430)
八代 公夫 北里大学, 医学部, 教授 (60050324)
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キーワード | 新生児循環 / 卵円孔 / 短絡様式 / 房室弁逆流 / 半月弁逆流 / 筋性中隔欠損 |
研究概要 |
超音波断層、ドプラ検査を用い、新生児循環のadaptation機構に関する次の研究をおこない新しい知見を得ることができた。 (1)心房レベルの短絡様式: 胎児期における卵円孔部血流は一方向性の右ー左短絡を示す。正常新生児36例における卵円孔部血流の分析では、出生後3時間以内において約90%に左ー右短絡血流が検出され、また少量の右ー左短絡血流を伴うものもみられた。出生後24時間において64%、4〜5日目において約半数に開存を認めた。この成績は従来考えられていたよりも卵円孔の閉鎖が遅延することを示し、その機転として卵円孔部を構成する組織の未発達性の関与が示唆された。 一方、胎児循環遺残の卵円孔部血流は拡張期と収縮期の2峰性の右ー左短絡血流が特徴的であり、本症の臨床的改善とともに、まず収縮期、その後拡張後と順に右ー左短絡血流の消失を認めた。我々は本症の改善、道展の予測に右ー左短絡時間/心電図、RR時間の測定が有用であることを示した。 2房室弁、半月弁逆流: 新生児期にみられる弁逆流の臨床的意義を明らかにすることを目的として、正常新生児31例におけるその頻度と推移を観察した。出生後早期には、三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、大動脈弁の逆流が100%、41%、84%、3%にそれぞれ認め、肺動脈弁逆流を除き、4ー5日目まで各弁の逆流検出頻度はほぼ同じであった。しかし全収縮期(拡張期)の逆流は3ー7%にみられるにすぎず、逆流の時相分析は病児との鑑別に有用であることを示した。 3筋性中隔欠損:正常新生児を894例中21例(2.5%)に筋性中隔欠損を認めており、現在その自然暦を検討中である。
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