研究概要 |
1.培養人表皮角化細胞の細胞内遊離カルシウム(Ca^<2+>)濃度の変動をFura2ーAMを用いた蛍光比画像顕微鏡法により提えた。 2.細胞内Ca^<2+>濃度はαーアドレナリンでは変動せず,βーアドレナリン,サイクリックAMPアゴニストにより一過性に上昇した(Koizumi et al J Invest Dermatol,1991)。 3.表皮細胞内Ca^<2+>は表皮細胞のadenylate cyclaseを活性化する他の薬剤,ヒスタミン,アデノシン,フォルスコリンにより一過性に上昇した(Yasui et al JDSCEI,1990)。 4.以上から,表皮細胞はadenylate cyclaseーサイクリックAMP系の活性化により,細胞内Ca^<2+>が上昇する機構のあることが明らかになった。この上昇は,細胞内貯蔵部位からの放出であった。 5.人表皮片において細胞内Ca^<2+>蛍光比画像顕微鏡法により の変動がとらえられた。adenylate cyclaseを活性化する薬剤で同様に細胞内Ca^<2+>は一過性に上昇した(Osawa et al Arch Dermotal Res inpress)。疾患皮慮生検組織を用いて細胞内Ca^<2+>変動が病態により変化するか検索することが可能であろうと考えられる。 6.リポコルチンエは人表皮有棘層に存在することが、免疫組織学的に明らかになった。mRNAについてin situ hybridization法を用いて検索を行っている。 7.赤血球には膜骨格蛋白質が存在し,細胞の形態,変形能を保つのに重要であることが知られている。その機能にはカルシウム,カルモジュリンが重要であることも知られている。ウサギに免疫し得られた抗体を用い,人表皮にスペクトリン,βーフォドリン,4.1蛋白質の存在することを免疫組織学的,immunoblotにより確かめた(Shimizu et al Arch Dermatol Res,1990,Histochemistry in press)。機能とCa^<2+>の関係を検索している。
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