研究概要 |
1.人純粋表皮片を用いて,Furaー2を指示薬とした蛍光比画像顕微鏡法により、個々の細胞の細胞内遊離カルシウムの変動をとらえた。Bーアドレナリン,アデノシン,フォルスコリンにより細胞内遊離カルシウムは一過性に上昇した(Osawa et al Arch DermatolRes1991)。培養表皮細胞より,in vivo に近い条件での表皮細胞内遊離カルシウムの変動がとらえられ,種々の疾患における表皮細胞での反応性の検討が可能となった。 2.表皮細胞膜phospholipaseCを活性化し,inositol trisphosphateを産生させる物質が表皮細胞内遊離カルシウムを一過性に上昇させることが確められた(安居ら第296回日本皮膚科学会北海道地方会)。すなわち,トロンビンブラジキニンが細胞遊離カルシウムを上昇させた。TPAは影響を与えなかった。 3.乾癬の病態形成との関係が注目されているサブスタンスPは,豚表皮細胞においてinositol trisphosphate,細胞内遊離カルシウムの上昇をひきおこし,protein kinaseCの可溶性分画から不溶性分画への移動をもたらした。βーresponse等のadenylate cyclase 反応前に対してはサブスタンスPは影響を与えなかった(Koizumi et al J Invest Dermatol1992,submi Hed) 4.表皮細胞が紫外線照射によりH_2O_2を産生することを直接確めた。 Dihydrorhodamine 123を表皮細胞にとりこませ,H_2O_2とpesox dade の存在下で蛍光を発することから,Flowcytometerないし,蛍光顕微鏡を用い蛍光の増強を測定した(Sakurada et al Arch Dermatol Res1992,Takano et al submiHed)。この方法により,TPA等の薬剤によるH_2O_2産生も検索可能である。H_2O_2は細胞の分裂とも関与が知られ,Phospholipase C,adenylate cyclase系,細胞内遊離カルシウムとの関係についていて検索したい。 5.表皮細胞膜骨格蛋白である4.1様蛋白質は培地カルシウム濃度0.15→1.8mMへの変動と共に細胞膜へ移動する(Shimizu et al submi Hed)。
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