研究概要 |
表皮角化細胞は外界から様々な情報を受容し、細胞内に伝達し増殖分化、機能している。ホルモン、神経伝達物質、サイトカイン等は各々に特異的な受容体と結合して細胞内で情報は増幅変換され、細胞反応を起こす。phosphophatidylinositol代謝回転に引き続くprotein kinase Cの活性化と細胞内遊離カルシウムの上昇、adenylate cyclase respnse系は角化細胞の増殖文化に関与する情報伝達系と考えられている。 bradykinin,thrombin,substance P,beta-adrenarin,adenosine,histamineが角化細胞内遊離カルシウムの上昇をきたすことをみいだした。角化細胞のinositol 1,4,5-trisphosphate産生に伴ない、またadenylate cyclase活性化により細胞内遊離カルシウムが上昇することが示され、カルシウムがsecond messengerとして重要であり、かつ、細胞内遊離カルシウム変動をきたす機構が単一でないことが示唆された。細胞対応としては、角化細胞の膜骨格蛋白(spectrin,-β-fodrin,4.1 proteinな)の存在が確かめられ、4.1 proteinは培養表皮角化細胞において、培地カルシウム濃度を変動させると、分布変化がおこり、細胞接着に関与することが推測された。またdihydrorhodamine 123を用い、角化細胞が産生するperoxideを直接測定する方法を見いだした。この方法によりTPA刺激によるperoxideの産生、分裂増殖に対するperoxideの影響を調べていきたい。細胞内遊離カルシウム変動の意義を明らかにするためには、情報としてはどういうagonistsが、膜情報伝達系は何を、細胞反応はなにか明らかにする必要があり、角化細胞情報伝達系の機構、各々の情報伝達系間のクロストークについても検索する必要がある。さらには乾癬などの皮膚疾患における細胞情報伝達系の異常を明らかにし、治療薬(ステロイド、retinoid,vitaminD3、PUVA等)による角化細胞伝達系の変動を検索し、治療に役立てたい。
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