研究概要 |
1.研究目的1に掲げたデスモソ-ム構成分子の分子構築様式を膜内,細胞間隙,細胞質に分けて追求するためポリクロ-マル/モノクロ-ナル抗体を用いた免疫電顕細胞化学の定量的分布パタ-ン解析を行った。この研究に必要なマイクロ.コンピュ-タ-一式と,画像処理ユニット(フォトロンFDM98)は平成2年8月に新規購入を完了した。入力した免疫電顕画像の自動計測処理はまだ着手したばかりであるが,測定値手動入力により入力した分布パタ-ンをマイクロ・コンピュ-タ-を用いた波形分離プログラム(自作)にかけ,エピト-プ濃度のピ-ク位置,構成ガウス曲線の半値幅から得られる分子配列の広がりの程度等などに関する正確な情報を得ることが出来た。別のモデル実験でこの波形分離法によるピ-ク間の分解能が60ー70A^0であることが明らかにされたが(H.Shida,J.Elect.Microsc.Tech.Vol.18,1991),この結果にもとずくとDG1とDG2とは原形質膜と厳密に平行配列した分子群を形成していることになり,その構造安定化の要因が新たな課題として今後重要な意味を持つものと考えられる。 2.目的2に掲げたDG分子間の相互作用や細胞間接着機構,細胞骨格系との関係等を明らかにするため,グアニジン塩酸処理により,精製デスモソ-ムより実験室的に半デスモソ-ムを調製,これを材料としてデスモソ-ム相補面におけるDG分子の数,濃度,2次元分布パタ-ン,Eーカドヘリンの存在の有無,アクチンを始めとする細胞骨格分子の存在の有無,等の研究に着手した。その結果(1)DG分子群がデスモソ-ム固有領域で二次元的にポアソン分布をすること,(2)Eーカドヘリンとデスモソ-ムとの分布パタ-ンは必ずしも表皮細胞においては一致しないこと,などが明らかとなった(H.Shida,J.Derm.Sci.,1990;H.Shida & R.Ohga,Cell Struct.Funct.,1990)。
|