研究概要 |
紫外線致死高感受性で高発癌性の色素性乾皮症(XP)線維芽細胞は紫外線(UV)照射後のDNA損傷修復活性に異常を持つ。従来主なDNA損傷はシクロブタン型2量体と考えられてきたが、(6ー4)光生成物も細胞致死や突然変異に関与しているといわれている。今年度は相補群の異なる種々のXP線維芽細胞〔XP40KO(C),XP59TO(D),XP24KO(E),XP3RO(E),XP70TO(E),XP28KO(F)XP46KO(F)〕を用い(6ー4)光生成物の修復動態を経時的に追跡した。XP59TO細胞はXP43KOと同様にUVC照射12と24時間で正常の約20%の低い修復であった。XP24KO(E)はシクロブタン型2量体除去は正常の約50%と高いが(6ー4)光生成物修復は20%にとどまった。XP3ROとXP70TOの修復については1度のデ-タしかないが、XP24KOより高い修復を示した。次年度には数回の追加実験によりXPE群の(6ー4)光生成物修復の特色を明確にしたい。又、XP28KO(F)はXPC群と同程度の(6ー4)光生成物修復(12時間で40%、24時間で50%)を示した。F群はシクロブタン型2量体同様に(6ー4)光生成物修復もかなり高い。 これらの結果から、シクロブタン型2量体のみならず、(6ー4)光生成物の修復もXP細胞の致死に大きくかかわっていると考えられる。今後はUVC光線で各相補群XPの修復動態を検討し、群に特徴的修復を明らかにする一方、シクロブタン型2量体のキネティクスも単クロ-ン抗体を用い(6ー‘4)光生成物と同様に求め、同じ手法により得たデ-タを比較する。また、バリアントはカフェインでUV致死が増強するのでカフェイン添加により、シクロブタンと(6ー4)の両2量体修復のキネティクスがどのように修復されるか追求したい。
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