研究課題/領域番号 |
02670480
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
武藤 正彦 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (40175625)
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研究分担者 |
高田 一郎 山口大学, 医学部, 助手 (40216651)
中野 純二 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (40198156)
麻上 千鳥 山口大学, 医学部, 教授 (80035188)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 尋常性乾癬 / 乾癬性関節炎 / 膿疱性乾癬 / 疾患感受性 / HLA遺伝子 / アナフィラトキシンC4a / リノ-ル酸 |
研究概要 |
乾癬発症の疾患感受性形成に関与する遺伝要因の血清学的ならびに遺伝子レベルでの解析を進め、以下のような成果を納めた。(1)尋常性乾癬(PV)の発症の少なくとも一部は二重劣性遺伝によることを明らかにし、ついで、その遺伝要因の一つとして、HLAーA1ーB37ーCw6および、B39ーCw7の各々と連鎖した遺伝子の関与を推測した。(2)乾癬性関節炎(PA)の疾患感受性はHLAーA2ーBw46ーCw11ーDRw8ーDQw6ーDPB2.2(A2が第一義的相関を示す)および、B27の各々と正の連鎖不平衡にあることを推定した。そして、HLAーA2と連鎖した主遺伝子は、優性遺伝に従うことを明らかにした。(3)HLAーA2遺伝子の多型性解析からは、PA患者と健康者DNAの間に差がみられなかった。(4)汎発性膿疱性乾癬(PP)の疾患感受性はHLAーA2と正の連鎖不平衡にある。(5)PVとPAに共通した疾患低抗性はHLAーDRw13ーDQw6ハプロタイプと正の連鎖不平衡にある。以上の遺伝子レベルでの解析から、PV、PAならびにPPは互いに異なった疾患であることが明らかにされた。 乾癬と相関を示すHLAの生物学的役割について検討し以下の成果を納めた。(1)HLAーA2ーBw46ーCw11ーDRw8ーDQw6ーDPB2.2ハプロタイプ陽性PA患者群で、血中アナフィラトキシンC4aレベルは非常な高値を示したことから、同ハプロタイプはPA患者の補体C4蛋白の血中レベルでの制御に関与することが示唆された。(2)HLAーA1ーB37ーCw6ハプロタイプ陽性PV患者群で血清リノ-ル酸が低値を示したことから、同ハプロタイプはPV患者の低リノ-ル酸血症維持に関与することが推測された。 このように、乾癬発症におけるHLA遺伝子支配ならびに乾癬を構成する各々の病型の独立性が明らかにされた。これらの研究成果は難治性疾患である乾癬の病態解明に貢献するものであり、該当する遺伝子を導入したモデル動物の開発、ひいては将来の治療への道を拓くものと期待される。
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