研究課題/領域番号 |
02670482
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
吉田 彦太郎 長崎大学, 医学部, 教授 (20033045)
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研究分担者 |
山本 憲嗣 長崎大学, 医学部, 助手 (90240093)
田中 洋一 長崎大学, 医学部, 助手 (20231417)
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キーワード | アトピ-性皮膚炎 / 家塵ダニ / パッチテスト / ランゲルハウス細胞 / 好酸球 / Der f1 / Der f2 / Der f3 |
研究概要 |
平成2年度の報告書で、Dermatophagoidesfarinae(DF)およびDermatophagoides pteronyssinus(DP)の粗抗原のパッチテストを行い、アトピ-性皮膚炎患者(AD)の約70%に陽性反応が得られたことを報告した。また免疫組織学的検討により、ダニ抗原が経皮的に侵入し、I型アレルギ-反応と接触過敏反応が誘導され湿疹反応が引き起こされることが考えられた。現在、DFはDer fI、Der fII、Der fIIIの3つのmajor allergenが知られている。本年度はADにおいて以上のどの分画が重要かを検討するため、metal chelating chromatography、ion exchange chromatographyなどの方法を用い、DF粗抗原よりDer fI、Der fII、Der fIIIと120kDの抗原を分離し、AD患者7例にパッチテストを行った。その結果、Der fI 0%、Der fII 71.4%、Der fIII 71.4%、120kD 57.1%の陽性率であった。アトピ-素因のない健常者4例ではいづれの抗原にも陽性を認めなかった。 また最近、ADにおいて、多数の好酸球顆粒蛋白の病巣部への沈着が報告され、好酸球が皮膚炎の増悪に関与している可能性が示唆されている。今回われわれは、好酸球のヒト正常ケラチノサイト(NHEK)に対する傷害性をin vitroで観察した。好酸球は高好酸球血症患者6名から、Percoll比重勾配達遠心法にて分離した。好酸球とNHEKをそれぞれ個数で0:1、1:1、5:1、10:1、50:1、100:1となるように培養液に浮遊させ、microtiter platewell内で6日間培養した。培養後、MTT assayでNHEKの傷害性(シ-ト形成能)を測定し、コントロ-ル及び好中球を加えた群と比較した。NHEKのシ-ト形成能は、好酸球数に比例して減少し、好酸球:NHEK=100:1で培養したところ、コントロ-ルと比較して75%のシ-ト形成抑制を示した。また、好酸球のNHEKに対する傷害性は、好中球とほぼ同じ程度あることを確認した。
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