研究概要 |
ヒトメラノ-マ関連抗原の1つである高分子メラノ-マ関連抗原(HMWーMAA)に対するモノクロ-ナル抗体(MoAb)5種類を免疫原として作製した抗イディオタイプ(抗Id)MoAbを用いて,メラノ-マ患者血清中の抗HMWーMAA抗体の検出を試みた。方法は(1)Inhibition assayと(2)Sandwich assayの2法を用いた。(1)は抗IdMoAb付着プレ-トに患者血清を反応させ,その後標識抗HMWーMAA MoAbを反応させ,標識抗体の反応阻止率で,血清中の抗HMWーMAA抗体を検出する。(2)は抗IdMoAb付着プレ-トに血清反応後,標識抗IdMoAbを反応させる方法である。その結果,Stage Iでは20%,10%,Stage IVでは45.8%,12.5%の症例において,抗HMWーMAA抗体が(1)および(2)法によって検出された。また正常人ではすべて陰性であった。Inhibition assayの方が感度がよく,Sandwich法が陽性で,Inhibition法が陰性の症例はなかった。今後はInhibition法のみで十分であると考えられる。従来HMWーMAAはマウスに対しては免疫原性が強いが,ヒトに対してはないと考えられていたが,今回我々の用いた方法では,明らかに担癌生体に対しても免疫原性があることが証明された。経過中の抗HMWーMAA抗体の力価にはあまり変化は認められず,化学療法や免疫療法の影響はうけにくいと考えられるが,ひき続き予後との関連を観察して行く予定である。 平成2年6月より2ケ月間,米国留学し,抗IdMoAbを免疫して,メラノ-マ細胞と反応する抗抗IdMoAbの作製に成功し,免疫した抗IdMoAbがinternal imageを有することを証明した。現在米国との共同研究で,抗HMWーMAA MoAbと抗抗IdMoAbとのメラノ-マに対する免疫組織学的な比較検討を行なっている。
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