研究概要 |
ヒトメラノ-マ関連抗原の1つである高分子メラノ-マ関連抗原(HMWーMAA)に対するモノクロ-ナル抗体(MoAb,Ab1)を免疫原として作製した抗イディオタイプ(抗Id,Ab2)MoAbを用いてメラノ-マ患者血清中の抗HMWーMAA抗体の検出を試みた。検出法はAb2 MoAb付着プレ-トに血清を反応後,標識Ab1 MoAbを反応させその阻止率で血清中のAb1を検出する。その結果,メラノ-マI期では20%,IV期では50%の症例にAb1が検出されたが,正常人においては、まったく陰性であった。また同抗体は経過中の変化は少なく,化学療法や免疫疫法の影響を受けにくいことが明らかとなった。従来HMWーMAAはヒトに対しては免疫原性はないと報告されていたが,我々の用いた方法により担癌生体においても免疫原性を有することが明らかになった。 抗Id MoAbの1つであるTK7ー371をマウスに免疫すると,その血清は培養メラノ-マ細胞と特異的に反応し,さらに同細胞とSDSーPAGEで免疫沈降反応を行なうとAb1 MoAbと同一のバンドを示すことから,TK7ー371はHMWーMAAのinternal imageを有することが明らかになり,マウスに対してhumoral immunityだけでなく,cellalar immunityも誘導することが米国との共同研究で明らかになった。 Internal imageを有する抗IdMoAb MK_2ー23を免疫源として作製した8種類の抗々IdMoAb(Ab3 MoAb)を用いてメラノ-マ組織に対する反応性をAb1と比較検討した。その結果,Ab3はAb1よりも反応性は弱いものの,大部分のメラノ-マ組織と反応を示した。また反応性の違いによってAb3を3グル-プに分類できた。Ab3がAb1と同様にHMWーMAAと反応することはIdMoAbがinternal imageを有することを免疫組織学的に証明し,MoAbレベルでメラノ-マに対してイディオタイプネットワ-クを形成していることが明らかとなった。
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