1)血中メラノーマ抗体の検出 ヒトメラノーマ関連抗原の1つである高分子メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)は、メラノーマ患者においては免疫原性はないと考えられていたが、抗イディオタイプモノクローナル抗体(抗IdmAb)を用いることによりメラノーマ患者血清の抗HMW-MAA抗体の検出を試みた。その結果、正常人ではすべて陰性であったが、メラノーマI期、IV期ではそれぞれ20%、40%であった。このことはHMW-MAAは担癌生体においても免疫原性があることを示すものである。 2)抗IdmAbの免疫原性に関する研究 抗IdmAbをマウスに免疫し、その血清と培養細胞との反応性を検討した。2種類の抗IdmAbで免疫した血清は培養メラノーマ細胞とのみ特異的に反応した。さらに標識した培養メラノーマ細胞とimmunoprepicitationを行うと抗HMW-MAAmAbと同一のバンドを示した。また抗IdmAbであらかじめ免疫したマウスの足蹠に培養メラノーマ細胞を接種すると24-72時間にわたり、同部位の腫脹が認められた。以上のことは抗IdmAbがHMW-MAAに対して液性及び細胞性免疫を誘導することを示唆する。 3)抗々IdmAbの免疫組織学的研究 メラノーマ凍結組織を用いて、抗々IdmAbの反応性を検討したところ抗HMW-MAAmAbとほぼ同様の染色性を示した。 以上の結果はHMW-MAAを中心にイディオタイプネットワークを形成していることがモノクローナル抗体を用いた解析で明らかになった。また抗IdmAbは抗原のinternal imageを有し、種々の免疫反応を惹起することから、メラノーマのワクチン療法に応用可能であることを示唆するものと考える。
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