研究概要 |
膠原病の確実または疑い例の血清中の抗核抗体の定性をル-チンに行い、臨床像との関連を追求している過程で、新しい抗核抗体(仮称TPNA)を見いだした。この抗体は現在までに同定されているRNP/Sm,SSA/SSBなど20余種類の抗核抗体とは、蛍光抗体法、ゲル内沈降法、immunoblottingの各所見および疾患特異性の点で異なっている。 ImmunoblottingではTPNAの認識するペプタイドは、ウサギ胸腺抽出液の99Kd,98Kd,96Kd,KB cell抽出液の99Kdであった。TPNAは抗核抗体陽性360症例中、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の2例に認められ、1例は8年後にSLEを発症した。 輸血部の協力を得て、成人ITP患者66例の血清についてTPNAのスクリ-ニングを施行したが、陽性例はなかった。従ってTPNAはITPのマ-カ-抗体として診断に応用はできないと推定された。TPNA抗原の同定に関しては、その単離を進めている段階であるが、現在までのところDNA結合性蛋白である可能性が考えられている。
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