家兎をネンブタ-ルによる静脈麻酔下に開腹し、鈍的に胆のうを露出し、血管クリップにて胆のう管を含めた胆のう頸部を遮断した後、23G注射針を用いて胆のうを穿刺し、十分に内容を吸引した後に99.8%エタノ-ルを注入し、約10秒後にその内容を吸引し、引き続いて生理食塩水にて洗浄した。2ー4w後に開腹し、胆のうを胆のう床ごとen blockに取り出し、肉眼的、顕微鏡的に観察した。尚、手術操作自体に伴うと思われる術後死亡が1例にみられたが、他には発育に問題と思われる例はなかった。 胆のうは肉眼的には萎縮が著明で内腔は殆んどわからない状態であった。周囲の胆のう床にも軽度の変色がみられた。組織標本の顕微鏡的観察では、胆のうの上皮は大部分が剥離して著明な変性を示していたが、頸部のクリップにて上めていた部分には十分な胆のう上皮が残っていた他、胆のう自体にも部分的に胆のう粘膜が温存されているところもみられた。更にはそのような温存されていた胆のう上皮から剥離された胆のう粘膜面へと再生上皮が進展しつつある所見もみられた。 以上のような所見より、胆のうの機能廃絶の為には、アルコ-ルは有力な武器であることが一応確認されたものの、単なるアルコ-ル注入では全く不十分なことが明らかとなった。即ち、胆のう管を完全永久的に遮断すると共に、その部分を含めた胆のう内腔が全てablationの対象とならなければならないことが確認された他、短時間のアルコ-ルとの接触は不十分なこともあり、十分な時間をかける必要性も示唆された。尚、安全性については、胆のう自体の穿孔などがみられず、肝の黄疸化や硬化もみられなかったことにより、特に問題はなく臨床応用も可能と考えられた。 尚、胆石破砕装置については臨床的に幾つかをテストしたに留まった。
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