研究概要 |
前年度までの検討にて、完全な胆のう機能の廃絶には(1)完全な胆のう管の閉鎖及び同部の粘膜破壊、(2)強力な徹底した胆のう粘膜の障害の2つが必須であり,これを完遂するためには、ヒトにおいては実験動物に比して、より強力な処置が必要であることが明らかとなった。そこで、胆のうの粘膜破壊に関しては、界面活性剤を用いた硬化療法に対する反応と、熱した造影剤によるThermal Ablation効果について検討した。両者とも一定の効果を挙げたものの、その安全域については、更に十分な検討が必要と考えられた。 また、臨床的に胆のう管の癌性閉寒に伴う胆のう炎症例に対し、根治手術は不能であるため、胆のう炎の再発を防ぐ目的にて、患者と家族に十分な説明を行い、同意を得た上で、アルコ-ルとエトキシスクレロ-ルによる胆のう機能廃絶術を試みた。合併症は全くなく、1週間後に胆のう粘膜の生検を行って病理組織学的に検討したが、胆のう粘膜は完全に破壊されていた。しかしながら、胆のう自体の瘢痕化や、内腔の消失は得られず、急性や慢性胆のう炎を合併した肥厚した胆のう壁全体の破壊は、やはり技術的に困難であると考えられた。また本法の臨床的有用性については、術後3ケ月の現在では、患者に胆のう炎の再発はみられず、有用であったと考えられるものの、経過観察期間はまだ十分に長いとはいえないため、今後も慎重に外来にて経過観察予定である。
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