研究課題/領域番号 |
02670494
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
玉木 長良 京都大学, 医学部, 助手 (30171888)
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研究分担者 |
間賀田 泰寛 京都大学, 医学部, 助手 (20209399)
野原 隆司 京都大学, 医学部, 助手 (80180769)
米倉 義晴 京都大学, 医学部, 助教授 (60135572)
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キーワード | positron emission tomografhy / oxygen / metabolism |
研究概要 |
心筋ポジトロンCTはin vivoで心筋局所のエネルギ-代謝の計測を可能にした。Fー18フルオロデオキシグルコ-ス(FDG)により糖代謝を、Cー11パルミチン酸により脂肪酸代謝の解析を行なってきた。しかしこれらの代謝は被験者の食事摂取で血糖値やインスリン値が大きく変動する場合、心筋内の代謝が大きく変化する問題点を持つ、今回研究の対象としたCー11酢酸は静注後すみやかに心筋に摂取され、Cー11アセチルCoAとなり、TCA回路で代謝を受けてCー11炭酸ガスとなって排泄される。従って心筋からの放射能の洗いだしの速度はTCA回路の活性、ひいては心筋の酸素代謝を反映する。今回は主に臨床例にCー11酢酸を投与し、20ー30分間の心筋内の動態を解析した。その結果 1.いずれの症例でもCー11酢酸の血液からの消失は速やかで、投与5分以内に左室心筋が明瞭に描出された。 2.健常例では心筋からの洗いだしはほぼ均等であり、心筋局所による差はみられなかった。 3.絶食時と糖負荷時との比較検討ではCー11酢酸の洗いだしに有意な変化はなく、血糖値やインスリン値の変動による影響を受けないことが示唆された。 4.健常例にドブタミン負荷を行ない仕事量を増大させたところ、心筋からの洗いだしは均等に亢進し、酸素代謝の増加が示唆された。 5.Cー11酢酸の洗いだし速度は心臓の仕事量の指標とされるpressure rate productと高い相関を示した。以上よりポジトロンCTを用いたCー11酢酸の動態解析より心筋局所の酸素代謝を評価することができ、かつその洗いだしは食事による影響を受けずに心臓の仕事量の変化をよく反映することが示唆された。今後は動物実験をあわせて行なうことにより、心筋の酸素消費量をどの程度正確に計測できるかについても検討を進めている予定である。
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