研究概要 |
1.[目的]本研究の目的は臓器所属リンパ節を造影するため,高分子型造影剤を目的臓器の実質内に直接注入し,造影剤のコロイド特性により選択的にリンパ系より吸収させ所属リンパ節の造影を図る(間接リンパ造影法)ことである. 2.[方法]本研究の予備実験として体重約13kgの雄成犬を用い,その足背部皮下あるいは睾丸内に造影剤をそれぞれ5ml及び2ml注入し,注入後,それぞれの所属リンパ節が存在する膝窩部,鼠径部,骨盤部及び腰椎部を経時的にCTスキャンし,各部位でのリンパ系の造影につき観察した.なお,用いた高分子型造影剤はヨ-ド化澱粉化合物で,平均分子量40,000,及び更に低粘度性(低分子性)のヨ-ド含有率20%の6ーヒドロキシエチル澱粉である. 3.[結果]平均分子量40,000の造影剤を用いた場合:足背部注入例では約20分後から膝窩リンパ節が造影されはじめ,30分後にはリンパ節全域が均等に濃染した.睾丸内注入例ではほぼ同様の時間経過で骨盤内,腰リンパ本幹が造影された.いずれの造影も約10分間明瞭にみられ,以後次第に消褪した. 平均分子量が更に低い(10,000未満)造影剤を用いた場合:足背部注入例では5分後から膝窩リンパ節が造影されはじめたが,更に5分後では濃染像は消褪しはじめた.睾丸内注入例では骨盤内リンパ系は造影されていたが,腰リンパ節,腰リンパ本幹の造影はみられなかった.
|