研究概要 |
焼却前の昇温並びに運転中の緊急の温度低下に対する加熱を、都市ガスで行うか、電気ヒータによるかの決定が最後まで問題になった。基礎実験を繰り返した結果、燃焼速度が1L/hr程度の炉内容積に対しては、都市ガスまたはプロパンガス以外では、対応が不可能であった。しかし、都市ガス方式と決定した後の開発は計画通り進んだ。炉本体はムライト(Al_2O_3:SiO_2=85:41)で作製し、その外壁をSUS304で密閉した。焼却炉内部の液送管は、アルミナ(AL_2O_3:SiO_2=91:7)、残渣の受皿はマグネシア(MgO:SiO_2=97:1)、熱交換機の内面はテフロンコーティングをした。この試験炉に廃液注送ポンプ、ガスバーナ、送風機、温度計、温度センサー、圧力計、震度計および冷却水量計等の付属機器を取り付け、和歌山医大RI実験室に搬入し、本実験を行った。実験は、最初にコールドランによる排ガス、排水、炉内部等の温度特性、焼却速度、冷却水量、風量等の流量特性、各種安全スイッチの動作試験等、焼却炉としての一般的な安全試験を行なった。次に、^3H,^<14>C,^<32>P,^<35>S,^<45>CAの各標準液を含む乳化、液体シンチレータの合計10種類について焼却試験を行い、試料中の比放射能、排気・排水・残渣中の放射能、排気流量、回収水量、残渣量、排出総放射能、放射能回収率等の測定を行った。その結果、下記のような結論を得た。1)炉体は外部より、SUS304(2mm)、ミネラルグラスファイバ(25mm)、セラミック断熱材(77.4mm)、セラミックキャスタ(50mm)の4層で、大きな耐腐食性と2000℃までの耐熱性が得られた。2)焼却炉内の液送管をアルミナで作製したのでステンレスとは比較にならない耐久性が得られた。3)熱交換器の内面をテフロンコーティングしたので、耐腐食性が増大した。4)熱交換器内の表面積を実質拡大したのでRI排気設備が利用可能になり、排ガスの安全性が増した。5)自動化により省人化と安全性が増大した。
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