研究課題/領域番号 |
02670507
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松原 繁廣 北海道大学, 医学部, 助手 (40142731)
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研究分担者 |
小田垣 雄二 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (10221160)
小山 司 北海道大学, 医学部, 助教授 (10113557)
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キーワード | Dopamine Dー1 receptor / Dopamine Dー2 receptor / Serotonin2 receptor / Atypical antipsychotic drugs / EEDQ / In vivo receptor occupancy |
研究概要 |
ラット脳内dopamine Dー1、Dー2、serotonin(5ーHT)2受容体に非可逆的に結合するNーethoxycarbony1ー2ーethoxyー1,2ーdihydroquinoline(EEDQ)を用い、5種類の定型的抗精神病薬、6種類の非定型抗精神病薬について、in vivoにおけるこれらの受容体に対する占有率を測定した。EEDQを量展開した際の Dー1、Dー2、5ーHT2受容体の不活化の程度、試験薬物とEEDQ投与との時間的隔たり影響、試験薬物の投与量とEEDQによる受容体不活化抑止との関係など、種々の基礎的検討から、EEDQにより、同一個体において薬物が上記3種の受容体にどの程度結合しているかの測定が可能であることを明らかにし得た。chlorpromazine、haloperidolなど、検討したすべての定型的抗精神病薬はDー2受容体に対し高い占有率を示した。他方、非定型抗精神病薬のうちclozapine、fluperlapine、risperidone、setoperone、ORG5222は5ーHT2受容体に高く、Dー2受容体には相対的に低い占有率を示した。その他の非定型抗精神病薬(sulpiride、amperozide)は大量投与により、それぞれDー2、5ーHT2受容体に対し軽度の占有率を示した。Dー1受容体については、cisーflupenthixol以外の薬物は認むべき作用を示さなかった。以上より一群の非定型抗精神病薬は、in vivoにおいて、強い抗5ーHT2 作用と相対的に弱い抗Dー2作用により特徴づけられ、定型的抗精神病薬とは異なった薬理学的性質をもつことが明かとなった。このことが錐体外路症状の生じにくさと関連していることが示唆され、また、非定型抗精神病薬のいくつかのものについて指摘されている治療抵抗性の精神分裂病やいわゆる陰性症状に対する有効性においても、何らかの役割を演じている可能性が示唆された。
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