研究課題/領域番号 |
02670514
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森本 茂人 大阪大学, 医学部, 講師 (20150336)
|
研究分担者 |
中本 康朗 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
名畑 孝 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
谷口 和久 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
福尾 恵介 大阪大学, 医学部, 助手 (40156758)
|
研究期間 (年度) |
1990 – 1991
|
キーワード | 老年期痴呆 / アルツハイマ-型老年期痴呆 / 脳血管性痴呆 / ムスカリン性アセチルコリン受容体 / 血中抑制因子 / 家族性アルツハイマ-病 |
研究概要 |
老年期痴呆、特にアルツハイマ-型老年期痴呆(SDAT)の病因は未だ明らかでない。本症においては脳アセチルコリンおよびこの受容体の異常が報告されているが、我々はSDAT例の流血中にムスカリン性アセチルコリン受容体(mAchーR)抑制因子を見い出した。mAchーR活性は、ラット全脳P_2分画よりショ糖密度勾配法を用いて調整したシナプス膜分画に対する ^3HーQNBの4℃24時間での結合をradioreceptor assayにて測定した。この ^3HーQNB結合に対する対象例血清40μl添加時の抑制率は、正常若年者10例(平均年齢22±4歳)で2±2%、正常中年者10例(56±2歳)で3±3%、正常老年者11例(78±6歳)で9±5%SDAT48例(79±8歳)で14±6%、および脳血管性痴呆例17例(78±8歳)で11±4%と、正常者においても加齢とともに増加し、またSDAT例では対照正常老年者および脳血管性痴呆例に比し有意(p<0.05)の高値を示した。さらに家族性アルツハイマ-病発症患者5例(55±9歳)では32±8%と著明な高値を示した。またSDAT例群内では、この抑制活性と痴呆の程度を表すMiniーMental stateの得点は有意(p<0.05)の負の相関を示した。さらにSDAT例および家族性アルツハイマ-病例の血清中mAchーR抑制様式はLineweaverーBurk plotにより競合阻害であることが判明した。さらにこの因子は100℃3分間の熱処理でも安定で、Protein Aカラムにも捕捉されず、非免疫グロブリン、非蛋白因子であると想定された。現在この因子の本態について詳しい検討を行っている。我々が見い出した因子は、本症発症の機序に深くかかわる可能性があるとともに、本因子活性測定によりSDAT例の早期診断、治療効果の判定の一助になると考えられる。
|