研究概要 |
〈目的〉側頭葉てんかん患者における聴覚および視覚情報処理を調べるため両耳分離機能検査とアイマ-クレコ-ダ-をおこなった。 〈対象と方法〉両耳分離機能検査の対象は側頭葉てんかん患者22名・非側頭葉性部分てんかん患者21名・原発全般てんかん患者21名・正常対照者20名であり,3対の異なる数字を72組左右の耳に呈示した。 アイマ-クレコ-ダ-の対象は側頭葉てんかん患者10名と正常対照者7名であり,視覚刺激はウェクスラ-成人知能検査の絵画完成テストの「たきぎの山」の図を用いた。被験者に20秒間呈示し,図の中でかけているところを探索させ,その眼球運動をアイマ-クレコ-ダ-を用いて記録した。全ての被験者は右利きで頭部CTにて脳内器質性病変を認めなかった。 〈結果〉両耳分離機能検査において側頭葉てんかん群は正常対照群と原発全般てんかん群と比較して左右の正答率の有意な低値と右耳優位度の有意な高値を認めた。非側頭葉性部分てんかん群においては左右の正答率の低値傾向と右耳優位度の高値傾向をみられたが有意差は認めなかった。原発全般てんかん群と正常対照群の間に聴覚認知に関して有意な差は認めなかった。 アイマ-クレコ-ダ-において側頭葉てんかん群は正常対照群に比較して正答者数の割合が有意に少なく,反応時間は有意に長く,停留点数も多かった。停留点数/反応時間は両群間に差を認めなかった。 〈結語〉聴覚認知の低下は側頭葉てんかん群に認められた。また視覚情報処理能力の低下も側頭葉てんかん群に認められた。
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