研究課題/領域番号 |
02670522
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研究機関 | 独協医科大学 |
研究代表者 |
大森 健一 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (00049165)
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研究分担者 |
朝日 公彦 獨協医科大学, 医学部, 助手 (20231897)
清水 輝彦 獨協医科大学, 医学部, 助手 (70235654)
駒橋 徹 獨協医科大学, 医学部, 助手 (40215398)
中野 隆史 獨協医科大学, 医学部, 講師 (20095037)
宮坂 松衛 獨協医科大学, 医学部, 教授 (40049135)
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キーワード | 疫学 / 老人 / 老年期痴呆 / 老年期うつ病 / 痴呆とうつ病の合併 |
研究概要 |
平成1年6月より開始した栃木県下大平町(総人口約26000名)の65歳以上の高齢者(約2700名)を対象とした精神医学的疫学調査を継続施行した。一次調査としてのアンケ-ト調査(回収率96.7%)で、精神症状や問題行動から痴呆の疑われた288名と、Zungの自己抑うつ評価尺度に基づき、SDS得点48点以上の抑うつが疑われた213名をまず抽出した。これらに対し、平成2年7月、8月の間に精神科医と保健婦らのペア-による家庭訪問二次調査を施行し、精神医学的神経学的診察と聞き取り調査を行った。平成3年度にはその補完的調査を行いデ-タを詳細に分析した。 結果:一次調査で対象とした65歳以上の老人のうち何らかの健康の障害を持つものは62.7%であり、その病気の種類は、高血圧が31.4%と最も高く、脳血管障害は5.1%に認められた。寝たり起きたり、あるいは寝たきりの老人は約5%であった。なんらかの問題行動や精神症状が認められた老人は、全体の23.8%であった。SDSによる抑うつ度の調査では、重症抑うつ1.7%、中等度6.3%、軽度16.6%であり年齢の上昇につれ正常が減り、抑うつ状態の割合が高くなった。平成3年度の補完的二次調査の結果を加えて検討した結果、精神医学的面接で決定された抑うつ状態の有病率は、2.9%であり、DSMIIIーRの診断基準に基づく大うつ病は0.9%であった。DSMIIIーRの診断基準に基づく痴呆の有病率は5.9%であった。痴呆を種類別にみると、鑑別困難な痴呆が最も高く39.1%を占め、次いで脳血管性痴呆38.3%、老年痴呆21.1%、その他の痴呆の順になっていた。痴呆の程度は、軽症56.3%、中等症27.3%、重症16.4%であった。脳血管性痴呆では重輪が約3分の1であったが、老年痴呆、鑑別困難な痴呆では、重症の割合が少ないのが特徴であった。痴呆と抑うつの関連をみると、脳血管性痴呆で抑うつの合併が42.8%と高いのに対し、老年痴呆では11.1%、分類不能の痴呆では8.0%と抑うつ状態の合併が少なかった。
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