研究課題/領域番号 |
02670523
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
古賀 良彦 杏林大学, 医学部, 助教授 (70104643)
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研究分担者 |
松岡 邦彦 杏林大学, 医学部, 助手
田口 弘之 杏林大学, 医学部, 助手
児玉 憲典 杏林大学, 医学部, 助教授 (30086590)
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キーワード | 事象関連電位 / 精神分裂病 / 情報処理 / 認知障害 / 言語情報処理 / ERP / P300 / トポグラフィ- |
研究概要 |
精神分裂病では、さまざまな感覚入力の情報処理機能障害があることが推測されている。われわれはヒトに特異的な能力である言語の処理機能を中心として、精神分裂病者における情報処理機能の障害を、色彩を刺激に用いた事象関連電位により研究し、現在までに以下の結果を得た。 1.精神分裂病の急性期において、症状増悪時と軽快時とではP300振幅に有意の差はみられなかつた。またP300振幅は、症状軽快時にも正常対照と比較して有意に小さく、これはとくに左側半球の部位で著明であった。 2.精神分裂病慢性期には、P300振幅は、正常対照と比較して左右両半球の広範な部位で有意に小さかった。 3.試みとして精神分裂病、健康対照の3次元電源双極子解を求めたところ、両者の双極子電源には差異がみとめられた。 以上の結果は、精神分裂病では、すでに急性期からtraitとして色彩概念形成の障害があることを示すものである。色彩は、それを表現することばと一対一の対応関係を持っていることから、色彩概念形成の障害は色彩を表現することばの概念形成に障害があることを意味する。したがって今回の結果は、精神分裂病では急性期にも慢性期にも、色彩を表現することばの概念形成の障害が存在し、慢性期にはその障害がより広い領野の脳機能障害と関連していることを示している。双極子解についての結果は、精神分裂病ではP300の発生源が変位している可能性を表すものと思われる。 今後、色彩ばかりでなく、文字や非言語性の刺激によりERPを記録、さらにその発生源について検討することにより、精神分裂病における言語認知障害、さらには思考障害を明らかにしたいと考えている。
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