研究概要 |
本年も平成2年度と同様に,光パルス療法の前後での持続採血,終夜睡眠脳波,持続体温(直腸温および長期に渡る口腔体温)などの指〓を設定して季節性感情障室(SAD)の病態、光パルス療法の作用機点などについて検討した。現在合計10例のSADについて加療を経験したが,本研究の条件を満したものは残念ながらわずかである。しかしその中でほぼ共通している結果は次のような点であった。 1)SADの病相期における特徴 (1)遊離トリプトファンの分泌の明らかに低下し,日内変動も消失していた。(健常者では日中に低く,睡眠中に高い日内変動を示していた。) (2)メラトニンの日内リズムはほぼ保たれていたが,全体として分泌能の低下が認められた。 (3)コルケゾ-ルの日内リズムも保たれていたが,全時刻で増加傾向にあった。 (4)プロラクチンは10ng以下と全体的に減少傾向にあった。 2)光パルス療法の作用 (1)遊離トリプトファンが約10%と有意に増加した。 (2)メラトニン,プロラクチン,コルチゾ-ルの分泌位相が明らかに2時間程度前進した。 3)性腺機能に及ぼす影響 (1)光照射により排卵および黄体機能が抑制される可能性がある (2)光照射の開始は,卵胞期がより効果的であった。 (3)月経関連症候群に光パルス療法が有効である可能性が認められた。
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