1.予備研究の施行および解析 (1)【対象】患者群ー精神科一般外来を初診した患者の内、13〜22才の年齢域にあり、かつ告知同意の得られた者全例:24例、対照群ー精神科受診の既往のない者(年齢域は25〜44才に分布):19例 (2)【方法】1)初期分裂病に関する先行研究および中安の自験例にもとづいて選定された以下の16種の症状の有無および内容が、患者群では逐次質問の形式で、対照群では自記式で調査された。(1)自生思考、(2)自生観念と自生内言、(3)自生記憶想起、(4)自生空想表象、(5)自生視覚表象、(6)非実在と判断される幻視、(7)非実在と判断される要素幻聴と呼名幻声、(8)音楽性幻聴、(9)視覚性気付き亢進、(10)聴覚性気付き亢進、(11)固有感覚性気付き亢進、(12)視覚の強度増大ないし質的変容、(13)聴覚の強度増大ないし質的変容、(14)まなざし意識性、(15)心的空白体験、(16)体外離脱体験、2)患者群に対しては、DSM-III-Rを用いて診断名(AxisIおよびAxisII)が与えられた。 (3)【結果】1)患者群は有症状数0および4をピークとする二峰性の頻度分布(有症状数0〜8)を示し、対照群は有症状数0をピークとする一峰性の頻度分布(有症状数0〜2)を示した。2)対照群には見られなかった有症状数3以上の患者群(10例)の中には、精神分裂病が3例、分裂病型人格障害が2例認められた。 2.本検究の施行 (1)予備研究の結果にもとづいて、本研究マニュアルを作成した(A4版33頁)。変更点は以下の通り。(1)症状項目は14種に削減(上記(11)と(15)は削除)、かつ1種変更((2)→自生内言と心声未分化)。(2)脳波および心理テストの施行は有症状項目4以上から3以上に。 (2)現在なお、本研究を施行中である。
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