研究課題/領域番号 |
02670530
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
葛西 眞一 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40091566)
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研究分担者 |
柿坂 明俊 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60194677)
山本 哲 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50125415)
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キーワード | 人工肝臓 / 遊離肝細胞 / 器官形成 / 代謝機能 / バイオマトリックス / ゲル化肝細胞 |
研究概要 |
生命維持に必要な物質の産生と中毒性物質の解毒・排泄を担う肝臓は、ひとたび重篤な機能不全に至れば予後は究めて不良である。現在臨床的に施行されている人工肝臓は、肝臓の解毒機能の一部を補助できるにすぎず限界があり、代謝能の補助法の開発が急務である。本研究では、肝臓を臓器工学的に解析し、種々の肝細胞培養法の検討から、新たな肝臓としての器官形成を試み、代謝機能補助の可能なリアクタ-の作製を目的とする。 平成2年度は、肝臓の器官再構築に関する基礎的検討を行なった。摘出動物肝の、コラゲナ-ゼ酵素潅流法により遊離肝細胞を得た。 1.inーvitro培養系における各種基質の検討;培養皿に、天然基質としてバイオマトリックスやコラ-ゲンを、合成基質としてポリスチレン誘導体をコ-ティングし、また、肝細胞のゲル被包化などによる機能再現を検討したところ、天然基質では肝細胞は接着後偏平化し、合成基質では接着したが偏平化せず、いずれも尿素窒素やグルコ-ス産生能は再現された。ゲル被包化肝細胞は、ゲル内で球形のままこれらの機能を再現した。 2.肝細胞生体内移植における再構築の検討;遊離肝細胞の生体内での再構築課程を検討するために、成長因子の併用、コラ-ゲン・ゲル化肝細胞の脾内移植、ゲル被包化肝細胞の腹腔内移植などを行なった。その結果、成長因子の使用は、生着肝細胞の早期増殖を示し、ゲル化肝細胞はほぼそのままの状態で経過し、被包化肝細胞は、腹腔内では長期生存は困難である事が判明した。 以上、平成2年度は、器官再構築に関して、その機能を中心に、比較的早期の変化を検討した。次年度は、器官形成に最も良い人工材料と条件の組み合せを検討し、再構築組織の代謝補助能力について研究を行なう。
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