研究課題/領域番号 |
02670532
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大河内 信弘 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40213673)
|
研究分担者 |
佐藤 俊一 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (30162431)
里見 進 東北大学, 医学部, 講師 (00154120)
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部, 助手 (20192106)
田口 喜雄 東北大学, 医学部, 助教授 (70004885)
|
キーワード | 肝移植 / Primary graft nonfunction / ミトコンドリア / 過酸化脂質 / 極超微弱発光 / フリ-ラジカル / 類洞内皮細胞 |
研究概要 |
(1)温阻血ならびに肝移植時の肝障害発生機序の解明 培養細胞を用いた脂質化酸化反応に関する検討:ラット肝をコラゲナ-ゼで潅流し、肝実質細胞と非実質細胞を分離培養した。それぞれの分画について、0から24時間の低温阻血をおいたのち復温酸素化した。両分画について低温保存時と復温酸素化の際の極超微弱発光を、ケミルミネッセンスアナライザ-で測定した。低温阻血時は24時間まで実質細胞も、非実質細胞も極微弱発光の増加は認めなかった。しかし、実質細胞では復温酸素化後著名な極微弱発光の増加を認め(コントロ-ルの200ー400%)、低温阻血8から12時間後にピ-クを認めた。一方、非実質細胞では低温保存中も復温酸素化後もいずれの保存時間でも、極超微弱発光の増加は認めなかった。以上の結果より、非実質細胞の障害発生に細胞膜の脂質過酸化は関与しないことが示唆された。 (2)Donation,保存法の改良による肝障害抑制の組織学的・生化学的効果判定 豚を用いて、人工心肺で血液を酸素化しながら肝を冷却し温阻血を伴わずにdonationを行う方法の効果を、ミトコンドリア機能と超微形態の面から検討した。本法を用いて摘出し12時間保存した肝を同所性に移植を行ったところ6例中5例に長期生存を認めた。本法を用いた場合、阻血に弱い類洞内皮細胞もその形態が12時間まで良好に保たれた。加えて、組織ATPやミトコンドリアのATP産生能もいわゆるstandard harvest法による摘出肝に比べて、保存12時間まで有意に高く維持されていた。以上の結果から人工心肺を用いた摘出法は肝のエネルギ-産生系を長時間良好に保ち、ジヌソイドの血流を保証する有効な方法であると考えられた。
|