研究分担者 |
井上 純雄 東京大学, 医科学研究所, 人工臓器移植科助手 (80147090)
中山 義介 北里大学, 医学部, 外科講師 (90155896)
西村 洋治 東京大学, 医科学研究所, 外科教務職員 (10218208)
杉本 久之 東京大学, 医科学研究所・人工臓器, 移植科講師 (20107428)
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研究概要 |
移植膵拒絶反応診断法を目的としてイヌ同種膵十二指腸移植を行い、十二指腸導管を膀胱に吻合し、尿中アミラ-ゼの定量により拒絶反応を診断してきた。しかしこれまでの検討では、膵十二指腸膀胱吻合群(10cm十二指腸segment)では膵液あるいは十二指腸液の尿中への喪失により著しい電解質異常と酸血症が起こるため、イヌの生存は小腸ドレナ-ジ群と比べ、短期間であった。今回の検討では、十二指腸導管を胃へ吻合する膵十二指腸胃吻合群と短十二指腸膀胱吻合群(5cmの十二指腸segment)を作り、生存その他について検討した。免疫抑制はciclosporinao mg/dayを筋注した。 〈実験群〉(1)十二指腸小腸ドレナ-ジ群(第1群)(2)10cm十二指腸segment膀胱ドレナ-ジ群(第2群)(3)5cm十二指腸segment膀胱ドレナ-ジ群(第3群)(4)十二指腸胃ドレ-ジ群(第4群)である。 〈結果〉生存は第1群133±107(S.D.)日、第2群16.0±5.8日、第3群10.8±5.5日、第4群79.0±118日であり、膀胱吻合を行った第2・3群では第1群に比べ有意に生存期間が短かかった。一方、2・3両群間には難がなく、死因はいずれも低Nacl,高K血症で酸血症が認められ、電解液の輸液補正によっても是正がなかなか困難であった。体液喪失源としては十二指腸液ではなく、膵液であることが今回の検討で明らかになった。各群イヌの尿中アミラ-ゼ排池量は第1〜7日まで平均し、第1群43.8±389(SD)Iσ/day第2群31,295±8572Iσ/day,第4群1,666±1186Iσ/dayで、第2群は第1,4群に比べ有意に高値で、この値をモニタ-することで移植膵拒絶反応診断が可能であった。これに対して血清アミラ-ゼ値、リパ-ゼ値の変動は非特異的で拒絶反応診断には不適当であった。 第4群では胃内視鏡により膵液を十二指腸粘膜の接取が可能で、生化学的ならびに組織学的拒絶反応診断が可能であると結論された。
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