研究概要 |
1)高速液体(クロマトグラフィー)を用いての尿中コチニン測定による喫煙・受動喫煙の客観的評価法を確立した。正常喫煙者・非喫煙者の尿中コチニンを測定することにより、尿中コチニン10ng/mgcre未満を受動喫煙の軽度な非喫煙者(狭義の非喫煙者)、10以上50未満を受動喫煙の高度な非喫煙者(狭義の受動喫煙者)、50以上を喫煙者とする基準を設定した。 2)1)の基準を用いて喫煙・受動喫煙とバージャー病(TAO)の病勢について検討したところ、喫煙例でば非喫煙例に比べて有意に病勢が悪化していた。。しかし、受動喫煙とTAOの病勢との関係は不明であった。・ 3)閉塞性動脈硬化症(ASO)とTAOを対象に、1)の基準を用いて喫煙・受動喫煙の有無を判定し、同時に採血することにより両疾患における喫煙・受動喫煙の凝固線溶に及ぼす影響を調べた。問診にて禁煙中と答えたのはASO25例、TAO17例であったが、そのうち非喫煙者と判定されたのはASO13例(52%)、THO6例(35%)にすぎず、ASO8例(32%)、TAO5例(29%)は受動喫煙者、ASO4例(16%)、TAO6例(35%)は喫煙者と判定された。問診にて喫煙していると答えたASO10例、TAO6例はすべて喫煙者と判定された。 ASO,TAOそれぞれを、1)により非喫煙者群、受動喫煙者群、喫煙者群の3群にわけ、凝固線溶マーカーを比較した。ASOでは、プラスミン・プラスミンインヒヒ夕一複合体(PIC)に有意差がみられた(Pく0.05)。・すなわち、PICは受動喫煙者群・喫煙者群で非喫煙者群に比し有意に低下しており、前2群における線溶能の低下が示唆された。また、TAOではプラスミンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)に有意差が認められた。すなわち、PAI-1は喫煙者群で非喫煙者群・受動喫煙者群に比し有意に増加しており、喫煙者群における線溶能の低下が示唆された。
|