研究概要 |
小腸の虚血再循環モデルにおいて再循環障害発生の抑制手段として、radical scavengerのみならずdiamine oxidase投与が有効であることを確認した。本研究では虚血心の再循環障害予防手段として、小腸の虚血再循環モデルの成績と同時に、diamine oxidaseの投与が有効か否かについて以下のように検討を行った。 ラット摘出心を用いランゲンドルフ回路を作製し実験群を以下の3群に分けた。I群:摘出心を60分間温阻血後、St.Thomas液にて再潅流,II群:摘出心温阻血前にdiamine oxidaseを予め投与し60分間の温阻血後にSt.Thomas液で再潅流,III群:摘出心温阻血前にsuperoxide dismutaseを投与し、60分の温阻血後、St.Thomas液で再潅流。以上の3群において再潅流後の心電図、左室圧について対比検討中である。現在のところ、再潅流後の不整脈発生防止効果と心内圧の変動を指標とする限り、diamine oxidaseのsuperoxide dismutaseに対する優越性を示唆する結果は得られなかった。以上の事より、心臓においては小腸と異なり、diamineの組織内含有量が少なく、従って摘出心の虚血再循環モデルにおいて、diamineの組織障害に占める役割は、いわゆる活性酸素種の役割を比べて小さい事が推測される。 ただし、in vivoにおける虚血再循環モデルでは二次的な末梢循環障害によって生じたdiamineが再循環心に障害を与える可能性は残されておりin vivoでの検討を進める必要がある。
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