研究課題/領域番号 |
02670554
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
秋山 洋 鹿児島大学, 医学部附属病院, 教授 (60167856)
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研究分担者 |
野口 啓幸 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (80198580)
高松 英夫 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (50142427)
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キーワード | 肺低形成 / Nitrofen / 横隔膜ヘルニア |
研究概要 |
新生児外科的疾患のなかで肺低形成が問題となる疾患は横隔膜ヘルニア、尿路閉塞性疾患がよく知られているが、前者は、胎生期の腹腔内臓器の胸腔内陥入による肺の機械的圧排によるとされ、後者は羊水中へ尿排泄のないことによる羊水過少によると説明されている。これらを病理学的に詳細に検討するために、本年度は、ラットを用い、薬物投与により横隔膜ヘルニア実験モデルを作成した。近年、除草剤の成分であるNtrofen(2,4ーdichloroー4'nitrodiphenylether)による催奇形作用によりラットにおいて横軸膜形成不全や肺低形成、心奇形、腎奇形を起こすことが報告されている。我々も、ラット及び家兎にNitrofenを投与し、横隔膜ヘルニアの作成を試みた。ラット(SpragueーDawley)では、交配確認日を妊娠0日とし、妊娠11日目にNitrofen100mg/kgを経口的に投与、妊娠20日目に開腹し胎児を回収したところ胎仔の約4割に右側後方に横隔膜の欠損を認めた。また妊娠家兎にもNitrofenを同量投与したが、胎内死亡を来し、横隔膜ヘルニアの作成はできなかった。 ラットでは、投与時期により横隔膜の欠損側の違いがみられ、これらの事実はNitrofenが横隔膜や肺の発生過程でその原基そのものを傷害するために生じてくることを示唆している。この示唆は、従来言われてきた"肺の低形成の原因は胸腔内陥入臓器による肺の機械的圧迫による"とする説とその立場を異にする。 また肺の低形成を評価する上で従来、肺重量、肺/体重比、肺胞数等が検討されてきたが、形態学的検討に比べ、機能的に低形成を検討した報告はない。我々は、今後の課題として、このNitrofenを投与したラットを用い、肺surfactantを免疫組織化学的に染色し、正常群に比べ、機能的成熟が遅れていないかsurfactantの面から検討する予定である。
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