研究課題/領域番号 |
02670555
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
前田 平生 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (30134597)
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研究分担者 |
池淵 研二 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20175194)
人見 祐子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (80181105)
遠山 博 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00008278)
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キーワード | 自己血輸血 / エリスロポエチン / 輸血後肝炎 |
研究概要 |
本研究は、整形外科領域での貯血式自己血輸血において、遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(EPO)を利用し、患者の採血後貧血を予防すると共に、十分量の貯血を可能にし、輸血合併症を予防することを目的とした。対象患者は、整形外科股関節疾患の36例であり、EPO非投与群(A群:12例))を含め、EPO投与群を投与量、投与回数により、3000U、週3回(B群:2例)、6000U、週2回(C群:9例)、6000U、週3回(D群:10例)、9000U、週2回(E群:3例)の5群に分け、術前3週間に1週毎に400mlずつ計1200mlを貯血した。その結果、EPO非投与のA群では、800ml、1200ml採血後のHb値は、採血前値に較べて、それぞれ約2g/dl、3g/dl低下したが、EPO6000U、週3回投与のD群では、それぞれ0.3g/dl、0.7g/dlの低下にとどまり、この差は統計学的に有意であった。(p<0.001)。また、A群では3例で他家血輸血を必要としたが、D群では全例無他家血輸血であり、輸血合併症予防の観点からもEPOの有用性が確認された。EPOの投与量、投与回数については、6000U、週3回が最も有効であったが、同量週2回でも十分実用的であった。以上の結果から、EPOの投与は、短期間に大量の採血をする自己血輸血において、採血後の貧血を予防するのに有効であり、とくに従来より自己血輸血の適応外とされた低体重、貧血がある患者にも適応が拡大され、他家血輸血による輸血合併症を防止する上でも十分に有用性があると考えられた。
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