(1)消化器癌の肝転移モデルを作成することを目的として、マウス、ラット、家兎の各種可移植性腫瘍株の細胞浮浮液を経門脈的に移植し、検討した結果、ラット腹水肝癌AH60Cが最も定量評価可能で、本研究に適した腫瘍株であることが判明した。(2)このラット腹水肝癌を用いた肝転移モデルに対し、抗癌剤(5ーFu)を持続的に門脈に投与した場合、着床期の転移巣に対しては、著名な転移形成阻止効果が得られることが確認出来た。(3)その後、微小転移巣の種々の段階に対しても同様の検討を行った結果、肉眼的転移巣に至らない大きさでも、門脈域外へ進展・増殖した微小転移巣に対しては、門脈化学療法の有効性に限界が認められた。(4)(3)の結果から、現在、持続肝動脈化学療法の微小肝転移巣に対する効果を検討中である。(5)(2)、(3)と併行し、微小肝転移巣の発育過程における血流支配と薬剤到達性について検討するために、ラット肝動脈及び門脈よりBrd Uを投与し、微小肝転移巣にるS期標識率を抗Brd U抗体を用いて検討している。現在、Brd Uの投与量、標識率に関し、実験を重ねている。(6)(1)〜(5)とは別に、多孔性セラミックス粒子を経門脈的に投与し、門脈細枝・類洞における塞栓性について、組織学的に検討した結果、35μm程度の粒経の粒子が副作用が少なく、抗癌剤結合担体として安全に用いることが出来る可能性が示唆された。(7)約35μmの多孔性セラミックス粒子と抗癌剤(Adriamycinなど)結合担体の除放性について、in vitro及びin vivoで基礎的研究を施行中である。
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