1.新しい徐放性抗癌剤結合体であるハイドロキシアパタイト粒子(多孔性セラミックスの一種)を肝脈管内、特に動脈内に投与した結果。抗癌剤アドリアマイシンの徐放性が確認された。 2.また粒子の塞栓性による肝障害を検討した結果、必要抗癌剤量の範囲では肝障害の範囲では肝障害の程度は比較的少ないことが判明した。 3.ラット腹水肝癌株を門脈内移植した肝転移モデルに対し、抗癌剤(5FU)を持続的に門脈内および動脈内に投与した。その結果、着床期の転移巣に対しては門脈内投与、動脈内投与ともに転移形成阻止効果が得られることが確認できた。 4.転移巣の腫瘍の発育に伴い、門脈内投与の効果は減少していくが動脈内投与効果の減少は認められなかった。 5.上記の結果は、腫瘍の発育増殖とともに支配血管が動脈優位になるためであると考えられた。このことはBrDVを種々の発育過程における転移巣に投与して、腫瘍の血流支配が腫瘍の発育とともに、門脈支配から動脈支配へ変化する事実により確認された。
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