研究課題/領域番号 |
02670569
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
山田 明 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (90200708)
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研究分担者 |
藤巻 雅夫 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50018355)
上野 雅晴 富山医科歯科大学, 薬学部, 教授 (40080197)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | W / O / W型リピオド-ルエマルション / 食道癌 / リンパ節転移 / peplomycin / (2"R)ー4'ーOーTetrahydropyranylーadriamycin / ヒト食道癌移植腫瘍 / 腫瘍抑制率 / Targeting療法 |
研究概要 |
食道癌特にリンパ節転移に対して、抗癌剤封入W/O/W型リピオド-ルエマルション(以下LE)をキャリア-とした新たなTargeting療法を考案し、その臨床応用を図るべく基礎実験を行った。 作製したLEは、平均粒子径約5〜8μmであり安定性が高い。雑種成犬をもちいた基礎実験として、先ずメチレンブル-を封入した青色のLEを胸部食道粘膜下層に注入し、直視下にLEのリンパ指向性、リンパ節移行性を確認した。また7日後に胸控内リンパ節を摘出し、X線学的にLEのリンパ節内停滞性を証明した。次に、peplomycin(PEP)封入LEを調製し、同様な実験で注入7日後の食道注入部のPEP濃度は非常に高く、またLE停滞リンパ節内PEP濃度は停滞のないリンパ節に比し有意に高値を示し、LEの薬剤(PEP)徐放性作用を認めた。さらに病理組織学的に、LEはリンパ節の辺緑洞、髄洞および髄質内に停滞することが確認された。 抗癌剤封入LEの抗腫瘍効果を、抗癌剤としてPEP 20mgおよび(2"R)ー4'ーOーTetrahydropyranylーadriamycin(THP)20mgをLEに封入し、ヌ-ドマウスのヒト食道癌移植性腫瘍(3株)に対してそれぞれの薬剤量として10mg/kgの腫瘍内局所投与を行った。(但し、THPーLEにおいては、まだその調製に問題があり、形態が不均一で安定性に欠ける)。3週間後の腫瘍抑制率(I.R.)では、PEPーLEに有効性は認めず、THPーLEにおいて2株に有効性を認めた。改良型THPーLEとしてTHP 5mg封入LEを調製したが、I.R.で1株のみに有効性が認められた。またヌ-ドマウスの体重減少や死亡も認めず、抗癌剤副作用の軽減に有用性が示された。 現在、PEPーLE,THPーLEほか他抗癌剤封入LEの改良と調整を行っているが、本LEのリンパ指向性、リンパ節内停滞性および抗腫瘍効果、抗癌剤副作用の軽減の面から臨床応用の有用性が示唆される。
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