研究概要 |
新生児膵ランゲルハンス島(以下ラ島)は成人ラ島に比し増殖能を有すると推察される.平成2年度では,このような特微を持つ新生児ラ島の移植の可能性を,pureな新生児ラ島の採取方法とその内分泌能を中心に実験的検討を行った.その結果,7〜10日の培養によって,形能学的にも成熟ハムスタ-膵より分離したラ島とほぼ同様のラ島が得られ,一方,インストリンの基礎分泌量やグルコ-ス負荷によるインスリン分泌能も,培養日数が進むにつれ著明な増加を示し良好な結果を示した. 本年度は,より正確なラ島のviabilityの検索のため,ラ島のインスリン含有量とDNA含有量を測定し,より詳細な内分泌機能の検討を試みた.インスリンおよびDNA含有量は超音波破砕によりホモジネ-トされたラ島をインスリンは95%acid ethanolで処理後radioimmunoassay法にて測定し,DNA量はdiaminobenzoic acidで処理した後にfluoropho tometerを用いて測定した.インスリン含有量は,培養2日目で124.76±17.08μU/10islets(以下単位は同じ),7日目で763.35±120.60,14日目で1015.43±183.24,23日目で1381.73±237.38と徐々に増加し,39日目には,2896.32±215.14,51日目で3324.74±663.52と,培養約5週前後でplateauに達した.DNA含有量も培養2日目で0.1913±0.0231μg/10islets(以下単位は同じ),7日間で0.2204±0.0036,14日目で0.2841±0.0213,23日目で0.3220±0.0381,39日目で0.3557±0.0299,51日目で,と徐々に増加し,インスリン含有量と同様に培養約5週前後でplateauに達した. 現在,STZ誘発糖尿病ヌ-ドマウスの腎被膜下へのラ島移植を試みているが,良好な結果が得られつつある.今後例数を重ね検討する予定である.
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