研究課題/領域番号 |
02670572
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研究機関 | 山梨医科大学 |
研究代表者 |
長堀 薫 山梨医科大学, 医学部, 文部教官助手 (00137035)
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研究分担者 |
三浦 和夫 山梨医科大学, 医学部, 助手 (00221599)
山本 正之 山梨医科大学, 医学部, 講師 (30158307)
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キーワード | 肝細胞癌 / Nm23遺伝子 / RTーPCR法 / densitometry |
研究概要 |
当研究のテ-マである肝細胞癌(以下、肝癌)の悪性度を規定する因子の一つに癌の転移能がある。即ち、初回原発腫瘍を切除し得ても肝内、或は遠隔転移するものがあるため、転移を予測し得ればより適正な集学的治療を選択することにより治療効果の向上を望み得る。そこでマウスの癌転移抑制遺伝子として同定されたNm23遺伝子の発現を、昨年度摘出、凍結保存した標本を用いてRTーPCR法により分析し、転移能の把握を試みた。Nm23遺伝子はマウスメラノ-マの低転移株で発現が弱く、ヒトの乳癌組織における発現の強弱がリンパ節転移や予後と相関する。<対象と方法>(1)主に昨年度、摘出後速やかに凍結し-80℃に保存したヒト肝癌の癌部と非癌部組織を用いた。(2)グアニジンチオサイアネ-ト、塩化セシウムを用いた超遠心法によりRNAを抽出した。(3)Nm23遺伝子、βーactin遺伝子に相同なオリゴシンセティックヌクレオタイドをABI社のDNA SYNTHESIZERにより作成し、sense、antisense primerとした。(4)COY社のTempcyclerを用いてRTーPCR法によりRNAからcDNAを作成、これを増幅した。(5)合成DNAをポリアクリルアミドゲル電気泳動し目的とする大きさのバンドの濃度をdensitometerで測定した。測定値は増幅したNm23遺伝子のDNAを、internal controlとして用いた増幅βーactin遺伝子DNAと比較しrelative density unit(RDU)として現わした。<結果>(1)Nm23遺伝子は22ー30サイクルで、βーactin遺伝子は20ー28サイクルでexponential curveを描いて増幅し25サイクルで反応を行なった。(2)RDUは正常肝で1.23±0.35(n=4)、肝硬変非癌部で0.78±0.44(n=6)、肝癌部で1.38±0.59(n=7)といずれの群間にも有意差はみられなかったが、肝癌のうち肝内転移陽性例は陰性例と比べ低い傾向にあった。<結論>Nm23遺伝子の発現の解析は肝癌の転移能の把握に有用である可能性がある。
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